導入事例

対談「プロジェクトを振り返る」
今だから言える「あの時」のエピソード

日立建機株式会社 様
「リアルタイムデジタルツイン基盤」

自律型や遠隔操作の建設機械が活躍する時代へ―。

その実現に向け、日立建機が構想するのが「リアルタイムデジタルツイン基盤」です。現場の膨大なデータをスムーズに処理・共有するためのミドルウェア、通信環境、エッジ側のコンピュータを一体化したこの基盤は、建設業界のDXを加速させるインフラです。
ユニキャストはこのプロジェクトにおいて、地形計測用ソフトウェアの情報伝達制御という重要な役割を担い、実証の舞台・日立建機の研究開発施設「かすみがうらValue Creation Hub(以下、VCH)」で研究開発に取り組んでいます。次世代の建設現場を支える技術、その全貌に迫ります。

※個人情報への配慮のため、写真の一部にイラストを使用しています。

  • 研究・開発本部 オープンイノベーション推進室
    主任技師 技術士(機械部門)
    西口 仁視 様

    三重県出身。2009年入社。
    土木施工現場におけるDX・自動化技術を中心に、
    オープンイノベーション活動を推進。
    以前は中型油圧ショベルの設計を担当。

日立建機 株式会社 様

  • 執行役員 兼 営業部部長 福田 弘

    宮城県出身。2018年入社。
    受託開発の営業活動を担当。
    入社前は大手システム開発会社に
    エンジニアとして従事。

  • ソフトウェアエンジニア 森田 恭平

    滋賀県出身。2021年入社。
    低レイヤ寄りの開発案件、
    自社サービスのインフラ周りを担当。
    得意としているものは C++を使った
    数値解析処理です。

株式会社 ユニキャスト

「面倒くさい案件」から始まった挑戦

西口さん

最初は、ある機関からの紹介で福田さんが来られたんですよね。そのとき僕、「面倒くさい案件しかないんですが…」って言ったら、「あっ、こういうのが好きなんです」って(笑)。

福田

言いましたね、たしかに(笑)。

西口さん

最初の仕事で、この会社はユニークだなって思いましたよ。人も、成果も。手堅い会社はそれなりのアウトプットが出ますけど、どうせやるなら、上手く嵌れば大きな成果が狙えるユニキャストさんのような会社と組みたいなと。

福田

西口さんもユニークですよね(笑)。

西口さん

でも、誰でも付き合えるわけじゃない。だから今回、「こうすれば上手くいく」というモデルケースを一緒に作ってみたかったんです。というか、このプロジェクトの性格上、ユニキャストさんみたいな付き合い方ができる相手じゃないと無理だった。

森田

実際、落とし穴だらけでしたからね。でも、それを見つけて潰していくには、いろんな角度から検証するしかないし、他社の人とも協力しながらやるしかない。お互い、かなり大変だったと思います。

西口さん

でも、そんな中で5社が関わって、プロジェクト発足から2年。めちゃくちゃ速いスピードで進んでると思いますよ。

現場で浮かび上がった「本当の課題」

福田

実際のプロジェクトで最も難航した部分はどこだったんですか?

森田

システムを組んで、実際に現場で試してみたんです。センサーから全部のデータを送ろうとしたら、途中で詰まってしまって、うまく通らない。ソフト的には問題ないはずなのに、使いものにならない状態になってしまって。

西口さん

ああ、そこが一番のボトルネックになると最初から予測してました。結局、ネットワークをどう構築するか、データをどうさばくかっていう部分が“本丸”だったんですよね。

森田

そうですね。構想段階では見えてなかった部分が、実証フェーズで一気に浮き彫りになってきました。

西口さん

制御信号なんかは、1秒遅れてもいいけど、絶対に届かないと困る。地形データも、常に最新のものが欲しい。でも、ネットワークの使用状況とか、誰がどこを触ってるかが混在していて、トラブルが起きたときに「どこが悪いのか」追うのが本当に大変で。

森田

だからこそ、綿密な打ち合わせが欠かせなかったです。普段はオンラインの定例ミーティングを中心に進めてましたが、VCHで実際に顔を合わせて、試しながら進める時間も大切にしてました。

西口さん

ユニキャストさんには、ユーザー目線で使ってもらいつつ、同時にリアルタイムデジタルツイン基盤の要となるデータ処理部分も作っていただいて。特に、地形のセンシングやセンサデータの統合は大変だったと思います。

森田

そこは一番集中して取り組んだ部分です。テストの回数もかなり多かったですし、現場での試行錯誤が多かったからこそ、今のかたちが見えてきた気がしますね。

身近で頼りになるパートナーです

西口さん

ユニキャストさんはフットワークが軽くて、ミーティングも現場でのテストもきっちり対応してくれているので、レスポンスには満足しています。…もうちょっと来てくれてもいいですけど(笑)。僕、ずっとVCHにいますから。

森田

呼ばれ方が「明日とかどう?」みたいなノリなんですよね(笑)。

西口さん

定例ミーティングは毎週やってますし、休むのはかすみがうらに泊まり込んで3日間作業する時くらい。おおみか(ユニキャスト本社)からかすみがうらはちょっと距離があるけど、都内や他県に比べれば全然近い。これからもぜひお付き合いしていきたいですね。…面倒くさい仕事でもいいですか?

福田

むしろ大歓迎です(笑)。面倒くさい仕事って、つまり「まだ世の中にない案件」ってことだと思うんです。西口さんが言う“面倒くささ”って、調査を含めた緻密さのことですよね。そこはユニキャストの得意分野です。

西口さん

やり方が決まってるとか、仕様書がしっかりある案件は、面倒くさいとは思わないんです。正直、翻訳作業みたいな仕事しかできないプログラマーも多いけど、ユニキャストさんにはそういう仕事は出さない。「やりたいことはあるけど、どうやってやればいいか分からない」っていう段階から一緒に考えてもらう。

福田

そこが、私たちが一番ワクワクする部分なんです。「こういうことをやりたい。そのための方法は考えてね」っていう依頼は、まさに大好物です。

西口さん

ユニキャストさんは、まさに“身近で頼れるパートナー”ですね。