導入事例

対談「プロジェクトを振り返る」
今だから言える「あの時」のエピソード

株式会社日立製作所 様
「空の運航管制システム」

ドローンや空飛ぶクルマ、空を活用した新たなモビリティの社会実装を。

日立製作所 研究開発グループは、ドローンや将来の空飛ぶクルマなど、空を活用した新たなモビリティの研究を進めています。
その中心となるのが「空の運航管制システム」。飛行計画の自動作成、飛行中の監視や調整、気象・電波状況の集約といった機能を備え、安全かつ効率的な空の利用を支えます。ユニキャストはこのプロジェクトで、膨大な情報を計算処理に引き渡すための通信やデータ受け渡し部分を担当。次世代の空のインフラを、足元から支えています。

  • モビリティ&オートメーション
    イノベーションセンタ
    自律制御研究部 主任研究員
    伊藤 貴廣 様

    富山県出身。2004年入社。
    モビリティの制御を中心とした研究に従事。
    コンポーネントから全体システム、
    地上モビリティから上空モビリティまで幅広く担当。

株式会社 日立製作所 様

  • 開発部
    クライアントワークユニット
    深井 龍雅

    茨城県出身。2019年入社。
    ハードウェアに近い開発を担当。
    GPUによる数値計算、ロボット制御、
    センサデータ処理など幅広く手掛けています。

株式会社 ユニキャスト

柔軟さとスピードで築く信頼関係

伊藤さん

ユニキャストさんとの出会いは、同じ社内の別部署でお付き合いがあったスタッフからの紹介でした。その方から「きっと力になってくれる会社だよ」と聞き、私たちがやろうとしていることを話したら、感触が良かったのでコンタクトしました。地理的にも近いですし、密にやり取りできるだろうと思ったんです。

実際お願いしてみて驚いたのは、こちらの説明が足りない部分までしっかり補完してくれること。しかもリモートでもそれをやってくれるので、とても助かっています。ユニキャストさんは他社と比べても柔軟性が高い。たぶん色々と無茶なお願いをしていると思いますが(笑)、要求をきちんとくみ取って対応してくれる。納期が短い案件も多いのですが、その中で可能なこと・不可能なことを的確に伝えてくれるので、こちらのやるべきこともはっきりします。見積もりの段階でそうした整理をしてもらえるのは、本当にありがたいです。

深井

案件によっては緊急性がとても高いものもありますから、まず発注をいただいたら、簡単な資料を拝見して、設計の段階から一緒に見ていきます。書かれている通りに実装できるかどうかを先に予測して、難しそうな部分はその場で修正していく。要件が合わないまま進めてしまうと、最終的にモノとして成立しなくなるので、それだけは絶対に避けたいんです。

恐らく、そうやって設計段階から一緒に詰める関係を築いてきたからこそ、その後の「急ぎでお願い!」といった無茶ぶりにも応えられているのだと思います。

制御通信のリアルタイム化への挑戦

深井

このプロジェクトで最も難航しているのは、経路計画などで「1秒以内に実行」という厳しい制限時間があることです。いわゆるハードリアルタイムの世界で、従来のWeb機能を使って実現するのは非常に難しい。一般的なインターネットやSNSの通信では、送ったデータがいつか届けばサービスとして成立します。しかし制御系では、10秒の遅延や1分間の停止は致命的です。その間に通信が切断され、制御が効かなくなる可能性があります。

こうした条件下では、既存の通信アルゴリズムが使えない場合も多く、既成のプロトコルでは単純に処理が間に合わないケースもあります。プロトコルを細かくチューニングして、制限時間内に処理を収めるための作り込みを行うのは非常に大変でした。

伊藤さん

そのため、打ち合わせは頻繁に行いました。週1回程度のペースで、我々が研究者として「こういうことを実現したい」という構想をお伝えし、それをユニキャストさんに実装していただく。説明しきれない部分も多いのですが、ユニキャストさんは意図をくみ取って形にしてくれる。そのためのすり合わせや検証を重ねる時間が、プロジェクトの前進には欠かせませんでした。

ユニキャストは受発注関係を超えた“仲間”です

伊藤さん

我々のプロジェクトは、早期実装と社内アピールのためにデモを行う必要があります。その際、工場まで足を運び、最後の確認や追い込みまで対応していただけるのは非常に心強いです。我々は研究開発で多様な技術を組み合わせるため、細部まで詰め切れていないことがありますが、そういった点を教えていただきながら進められる。ユニキャストさんは技術に精通したプロフェッショナル集団だと感じますし、「こういう構成やツールが良い」という提案も多く、受発注関係を超えた“一緒に取り組む仲間”です。我々だけでは実現できないことも、共に挑戦して実現できる。ぜひ他部署にも勧めたいですね。

深井

私が担当している制御分野では、そこをきちんと押さえないと実装が成り立ちません。伊藤さんはリーダーとしてチームをまとめてくださいますが、仕様変更が積み重なり、物量に押し負けそうになることもあります(笑)。それでも日立製作所さんと一緒に取り組むことで、乗り越えてこれました。

伊藤さん

プロジェクト終了後も、新たな研究開発案件は続きます。構想が固まったら、まずユニキャストさんに相談するのが良いでしょう。最近のシステムは複数のドローンやロボットを同時に扱う大規模構成になるため、自分たちだけでは対応しきれない部分も出てきます。そんなとき、柔軟に対応できるユニキャストさんにまずは相談してみるのがいいと思います。

深井

私はロボットの実装が中心ですが、難易度の高い課題やインターネット技術との連携が必要な場面では、これからも日立製作所さんと共に取り組んでいきます。